高志は思い切りよく、そう言って穂高の背中を叩いたが、「でも、大丈夫だよ」と、安心させる優しい声で小さく呟いた。 そのまま、反対方向の道筋に辿り着いた二人は、拳と拳を合わせ打つ挨拶を交わすと「じゃあな」と言って別れた。 互いに背中を向けて歩いていく。 だが、ふと足を止めた高志は、頑張れよ、と背中を押すように、いつまでも穂高の背中を見つめていた。