「当り前だよ、ソースの滲みにはご飯粒を塗り込むんだ、でもこれが有効なのはその日のうち。今度は隠さずに言いなさい」

「はいはい。まぁ取れたから良かった。昔の人の知恵は結構役に立つもんな~今度からは忘れずに……」

 そんな会話を交わしながら、突っ立ったままの高志に、口を挟ませる余裕を持たせないようにしているようだった。

「何だよ、ったく……」

 高志は疎外感を拭いきれず、不貞腐れたまま洗面所に向かい、身支度を整え始めた。