苛立ちを募らせる高志に見向きもせず、智子は忙しなく食卓にご飯を並べていった。

 それを見て、高生も平然と食卓に向き直ると箸を持つ。

「高志も早く顔を洗って食べてしまいなさい」

 そう言って「いただきます」と手を合わせた高生は、何食わぬ顔でご飯を食べ始めた。

「おい、親父……」

「母さん、目玉焼き半熟がいいって言ってあるのに」