大賀邸にいるベリルたちは、ヘッドセットから聞こえた音と声に険しい表情を浮かべる。
<見つかっちまったみたいだな>
「そのようだ」
暗闇の中で応える声は低い。
<どうする>
「……」
数秒ほどの沈黙のあと、
<しばらく様子を見る>
「アイサー」
返ってきたベリルの指示に応え、泉は再び駆けだした。
彼の向かう場所は居間だ。
「ふむ」
指示のあと、ベリルは思案していた。
彼が隠れている場所は床下だ、細身のベリルにはこの豪邸は十分なスペースがある。頑丈な造りだが、木造家屋は振動が伝わりやすい。
大人の男が走り回るのだ、ベリルにはそれだけで大体の状況が判断可能である。