「どうして密室なのかしら……密室にするメリットって…なにが有るんだろ…」

前原は小さく首を横に振って見せただけだった。

「さあ、もう良いだろう、見学会はこれまでだ。あとは警察の管轄だからもう帰りなさい。ところでで君達は何者だい?この学校の役員か何かかい?」

「ううん、全然関係ないわ。私は佐久間亜矢子、文芸部部長。そこに居るのは新井山琢磨、副部長よ」

「文芸部?」

「まぁ、来年、部員が入って来ないと人数不足で廃部になっちゃう運命の部だけどね。ちなみに得意分野はミステリー。分るでしょ?」

前原はそれを聞いて、ナルホドと言う顔をして見せたが秋野の表情は優れ無かった。秋野は前原につかつかっと近づくと彼の耳元で、こう言った。

「良いんですか、素性の知れない学生にこんなに詳しい事を話して。情報漏洩ですよ」

しかし前原は顔色一つ変える事無く、秋野にくるりと背を向けると、無言で理事長室を後にした。

そして夕日は静かに沈んで行く。