「第一発見者は誰なの?」

「ああ、教頭の……田中さんと言ったっけか?ちょっと特徴のある話し方をする…」

亜矢子は「なるほど……」と言う様な表情をすると「おねえ……ね」と一言呟いた。そして再び前原に質問する。

「おね……教頭は、どうやってこの部屋に入ったの?施錠されてたんでしょ、入口二つとも」

前原は肩をすくめて、両目を閉じると、ちょっと笑みを浮かべながらこう答えた。

「体育の佐藤先生、だったかな、彼と二人で職員室側の扉を力づくでぶち破ったそうだ」

亜矢子は職員室側の扉に目をやった。扉は確かに壊れて外れ、壁に立てかけてある。それを見て小さく溜息をつくと前原の方に向き直る。

「本当に密室だったのかしら?」

亜矢子の質問に前原はちょっと微笑んだだけで何も答えなかった。