「さっきの嫌な夢ってやつも、昔のことだろ?」




ふっ、と少し口角をあげて間宮くんはあたしに問う。





(なんなの、この人)





あたしの何かを知ってるの?

いや、そんなはずない。


この学校であのことを知ってるのは、親友の雅(ミヤビ)だけだし。


それなのに、なんで…。





「詳しいことは知らないけどさ、見てれば分かるよ」





驚いてるあたしを見て、間宮くんは言った。





「今日だって何回も授業中に呼んだのに気づかなかったし」

「え、あ、ごめん」




別にいいんだけど。
そう笑いながら間宮くんは続ける。




「過去に何があったか知らないけど、無理はするなよ。辛いときは泣けばいいんだから」




な?といいながら間宮くんは優しく微笑む。


さっきの口角を上げるような笑い方とは違う柔らかい笑い方。