「ちょっと嫌な夢見ちゃった」



そう言うと、間宮くんはふーんと興味なさそうに言った。




(自分から、大丈夫?って聞いたくせに)




ちょっと腹が立って、近くにあった文庫本をペラペラとめくってみる。



さっき見た本だけど、何もしないでぼーっとしてるよりは気が紛れる。


やっぱり間宮くんと二人は気まずい。





「山梨ってさ、過去に何かありましたって感じだよな」

「…は?」





何を突然言い出すんだ、この人は。





「楽しそうに笑ってるようでちゃんと笑ってないし、授業中外ばっかり見て悲しそうな顔してるし」

「…なに、そんなにあたしのこと見てるの?」





いや、違うけど。
そう言って間宮くんは少し笑う。