私、大宮 晴菜(オオミヤハルナ)が思うに
“白馬の王子様”なんていない。
王子様だって少ないのよ?
白馬だって少ないのよ?
両方とも希少なのに、その組み合わせって…。
メルヘンチックな人、まあ所謂頭がお花畑の人は言うんです。
「いつか白馬の王子様が迎えにきてくれるの!」
………。
アホよね。
せめてリムジンでくるわどアホ。
と、まぁ
前置きはここまで。
こんな持論を持っている私の学校には
「王子様」と言われている人がいます。
そんな王子様と私のお話……なわけない(笑)
さて、
先ほど言ったとおり、私の学校には王子様がいます。
まぁ、アレです。
「キャーッ!王子様が登校なされたわ!」
「いつ見ても麗しい…っ。」
「あの美貌で、族でも強いんでしょう?」
「総長なんですって!」
王道ですね。
いつも八時ピッタリに登校する、鋭く切れ長の目に、サラサラの金髪、着崩した制服。
そして……
学年二位の秀才で、有名な族の総長。
名前は、龍崎 海翔(リュウザキカイト)。
厨二な名前乙だと思う。
ファンクラブはあるし、まぁ族の総長だから、男からも尊敬されている。
そして
「晴菜ー!海翔様が来たわよ!」
「えー、本当!?」
そんな私もファンクラブの一員。
実際に好きなわけじゃない。
目立たないように、それだけ。
「海翔様ー!こっち向いてー!」
「…向かなくてもいいですぅー。」
「んもぅ!晴菜ってば、本当は好きじゃないことがバレるよ!」
プンプンと頬を膨らませて怒っているのは、笹木 由宇(ササキユウ)。
私の幼なじみ兼友人。
茶髪を二つ結びにしている。
……私?
黒髪の一つ結びですけど?
え?お洒落しないのか?
校則ですけど何か。
そんなとき、龍崎海翔はチラッとこちらを見て
「…きもっ」
ぼそりと呟きやがりましたよ。
あ、イライラする。
「いや、キャーキャー言われてウザいのも分かるけど、キモいって…ウザッ」
「は、晴菜?」
「顔が人より整ってるくらいで何様?あぁ、海翔様でしたね。族なんてカッコ良くないし、大人になって考えたらただの黒歴史にしかならないんだから」
「…、晴菜さーん?」
「総じて嫌い」
「うん、落ち着こう」
何が幸いだったか、って
この会話を龍崎に聞かれなかったことよね。
あと、周りの世間知らずのお嬢様にも。