ちょっと感動のあたし、数時間後、空の上にいた。


「で。今どこに向かってるんだっけ?」


「カナダだな…」


「で。元々どこに行く予定だったんだっけ?」


「ウィーンだな…」


「で。なんでこうなってるんだっけ?」


「あのお義父さんのせいだな…」


「ですよね!!」


そう!

しかも実は、行き先がウィーンではない!


「なーにが『あ、ウィーンの別荘もばれちゃってた❤カナダに買った土地に家建ててるから、そっち行っちゃいなよ♪』…だばーかばーかっ」


「こら…口の利き方」


「だってまおの予定狂いまくり!」


「いいだろ別に。…ただあれが気に食わねぇけど」


「そう。それも気に食わない」


カナダのってさ?

あそこってあたし達の家だよね?

なのになんで父様があんなこと勝手に決めてんの?

絶対本人も嫌がってるでしょ。


「なーにが『ぼく……あの子気になるんだよね…』だばーかばーかっ。真面目な顔して気色悪いっつーのに!」


「だから口の利き方」


だあってぇ!

どうしてどうして…。



「ユウキをうちに泊めなくちゃならないわけ?」