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「真裕様! あんまり遅いので、心配しましたよ…」
「ああ野木さん。ごめんね。…おいでおいで紅葉ちゃん❤」
野木さんのもとへ着くと、うろうろと歩き回っていた彼はあたし達に気付いて駆け寄ってきた。
「お体は大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。ほら、この人いるし」
「……そうですよねぇ…」
「……なによ」
この人がいればいいけど、いなきゃダメだとでも言いたいわけ。
「すぐにウィーンへ?」
「うん…あっ!」
そうだ、思い出した!
「ねえかっくん、ちょっと行きたいとこがあるん…」
「ダメ」
「……」
「……」
なにその即答。
言い切らないうちに禁じられたんですけど。
「…一応、病院なんですが…」
「病院? お前が? …行きたい? ……野木さん救急車呼んでくださいよ。頭やられてそうだから」
「失礼!!Σ いくらなんでも失礼!!Σ」
違うわよ、みわ先生に会いに行くんだわよ!
誰が病院自体に行きたいもんですか。
しょうがないじゃない、みわ先生お医者さんなんだもん。