…そう……なん…だ。


「でも今お前は俺のそばにいる。俺のもんだ。…もう必要ねぇんだよ、繋ぎは…」


繋ぎ…すなわちバイオリン。

もう、いらない…。


「…本当にやめちゃうの?」


「…ぶっちゃけ、お前ほど好きでやってるわけじゃないしな」


「……ぶっちゃけすぎじゃね?」


「いいだろうが別に。動機なんかそれぞれだ」


「だいぶ不純だよね」


「……文句あんのか」


「……」


「……」


じっと目を見つめながら、離れている距離を歩いた。


「……ない!」


…そして、目の前まで来た瞬間、そう告げながらかっくんの首に腕を回した。


ないよ…。ないに決まってるじゃん。

あたしからすれば、これ以上ない嬉しい動機だ。

だってこの人は、ずっとずーっと、あたしのことを想い続けてくれてたんだもん!


「ふふっ……やっぱ超愛してる!」


「バーカ…。俺の六年に勝てると思うなよ」


抱きしめられているあたたかい腕から、かっくんの六年分の愛が伝わってくるようだった。


「…今日しか言わねぇよ?」

「なあに?」

「…一生そばにいろよ。それだけでいい。それだけで……」

「……分かってるよ照れ屋さん」