今ではもうだいぶマシだ。

吐き気は治まっているし…ちょっと、食の好みが変わったくらいかな。

もう少ししたらよくなるはずだって、退院直前に先生が言っていた。


「はい。どうぞ」


「ありがとうママ」


ところでかっくん達は…なにやってるんだろう。

来ないわ。


「もう用事は終わったの?」


「うん、さっき学校に寄ってきて」


「あら、学校?」


「それがあの人ったら…」


「ごほん」


「…あらかっくん。いつの間に」


咳払いに顔を上げると、ソファの後ろからかっくんがあたしを見下ろしていた。


「かえくんもお茶飲む?」


「いや」


「楓、お前ね、連絡くらいよこしたっていいんじゃないのかっ。ついこないだまで俺はっ…! 死んだものと…!」


「だから普通お袋がしてると思うだろって」


「してなかったんだもん」


「だからそりゃ俺じゃなくお袋に言えよ」


「もう何度も言ったわ!」


「じゃあもういいだろうが」


…この親子のやり取りってこんななんだ…。

なんかあれね。いつまでも見ていたい感じ。