そこまでは言ってないけど似たようなことを言ったまおちゃんの耳にはそんな声は届いていない。


「あたしのかっくん~…」


悲しそうにそう呟いたかと思うと、うるうると涙が滲みだした。


『え"!?』


「うー…っ…うーうっ…」


『あらあらっ。藤峰家次期当主になんてこと…』


『お、奥様!?』


大慌ての医者を見ていると少し笑えた。

まおちゃん…奥様って言葉、似あわないな。

お嬢様ってのがぴったりだよ。


「まおや、少し我慢しなさい。今日一日眠ったら起きても許して下さるそうだよ?」


『え、いや…そのようなことは…』


「まお、あめちゃんあげようか」


『いや、病院でそのようなものは…』


「ほんならまおたんこのくまいるけ?」


『で、ですからそのようなものを置かれては…』


「全部いる」


『全部て!Σ』


…しかしなんだこの父親を含めた日本組。

幼稚園児の扱い方だなまるで。


……あれ、以前似たようなことがあったような…?


「でもかっくんのとこ行く」


『あ、奥様どちらに…』


『触らない! 声をかけない! 目を見ない! 分かりましたか!』


『は、はいっ。……え?』