その様子を不安に思ったのか、眉を寄せて顔を覗き込む。
そうか…こいつら、まだ知らねェんだな…。
「やあ。よく来てくれたね。遠いところをすまない。…少し話をしよう」
「まおパパ!」
真裕父の突然の声に少し驚いて振り返ると、くいっと中を指差しながら笑っていた。
…こうしてりゃ若くて格好いい親父さんなんだがなぁ…。
可哀そうに。
『可哀そうに言ってやるなよΣ』
「家族以外は面会謝絶なんだ。話を聞くだけでどうか勘弁してくれ」
「面会謝絶…?」
その一言にひどく不安を煽られたらしい花梨は、修平の髪の毛を握っていた。
…修平はしゃがみ込んでいるわけだし……仕方ないといえばまあ…。
「いててててっ、いてぇ!」
「えっ。ああ、ごめん」
「中身のない謝罪やなぁお前は…」
頭をさすりながら立ち上がった修平はそうブツブツ言いながらも、不安そうな花梨を気遣うように寄り添った。
「真裕、お前ももう少し休みなさ……って早っ!? もういないっ!Σ」
「さっきそこに戻っていきましたけど」
楓の病室を指差しながらさらりと言ったユウキの言葉通り、真裕はあっという間に楓のもとへ引き返して行った。
あの様子じゃ……あそこから離れる気は毛頭ねェな。
「着いたばかりなのに悪いね」
「いえ…このために来たんですから」
「学校、サボってまでね」
「うるさいわねー。特例で欠席なしにしてくれるって誰か偉い人が言ってたじゃない!」
「理事長やΣ忘れなや!」
……どうでもいいが本当に賑やかだな。