「ど、いう…ことだ…」

「だから、玲太くんは―…」


一面に見える白。

決してふかふかだとは言えないベッド。


狭い部屋に響く葵の声。

頭にきつく巻かれた布。

周りは俯いていて重い空気が流れる。


「ふっざけんな!」

「きゃ!!」


「やめろ真季!!」



痛む体を起こしてその葵に掴みかかる。

だがそれは後ろにいた郁也に止められた。


いつも一緒にいて一度もこんな態度を葵にむけたことがなかったせいか、

葵は吃驚したのか赤くなった目に涙を溜めた。



「なんで―…ありえねえだろ!!」

「大人しくしろ真季!!お前だってまだ安静にしてないといけねぇんだ!」


知らない。そんなこと。


信じられない。

葵のいったことなんて。


「信じられっかよ!!…玲太が…死んだなんて……」


なのになんでこんなに目頭が熱いんだ。

なのになんで心がこんなに痛いんだ。



それはやっぱり心では分かってるからだ。


「真季…」




俺の頭を優しく撫でる郁也の手は、冷たかった…