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「裏庭に行かない?」


あたしたちは、卒業に向け浮足だった空気で満ちた教室に帰ることはせず、瑛太の提案で裏庭に来た。


帰宅部のあたしたちは、よく放課後にここに来ては、他愛の無い話をした。


最近観た映画のこととか。
新製品のお菓子はどれが美味しいかとか。
世界史の教師が授業中に何回「えー」と言ったかとか。
なんてことない日常のこと。


それに、ロックが好きな瑛太とは音楽の話をすることが多かった。


二年になりクラスが離れてからも、ここに来れば瑛太に会えた。


言わば、あたしにとって幸せの場所。


流石に三年になってからは受験勉強に追われて、裏庭から足が遠のき、瑛太とは前みたいに毎日会うことはなかったけれど。


だから、こうして卒業を翌日に控えた今日、瑛太がここに来ようと言ってくれたのが嬉しかった。