「泣くなよ。泣かせたくて一緒にケーキ作った訳じゃないから。」





だって、だって、悔しいんだもの。





「ムカつく、ムカつく、司のバカ!」





「本当に可愛奴。」





「うぇ〜ん。」





司に抱きついて声を上げて泣いた。





何がそんなに、辛いのか分からない。





だって今まで、料理なんて出来なくても気にもならなかった。





男の司に出来て、私が出来ないのが悔しいのか分からない。





司の腕の中はここち良くて、このままいたい。





「もう泣くな。夢子姫は今までずっと一人で頑張って来たから。もう大丈夫だ。夢子姫に淋しい思いはさせない。」





うん。





「夢子姫、鼻水つけるなよ。」





ごめん、鼻水一杯つけちゃった。





「夢子姫の鼻水しょぱいや。」





何で又キスするの?





それは、鼻水でなくて涙なんだからぁ。