劣木がボールをクルクルと回す
【ラスト内角低め】
天野が構える
【行くぜ!!】
スーッ
ブルンッ
パシーン
バットは空を切った
『ストライク。アウトです。クラマロ三振。』
早乙女のアナウンスを聞いてナインがゆっくりと動く。
みんなベンチに戻るとぐったりと倒れこんだ。
「どうした??クラマロ。あんなボールに空振るなんて??」
ライジスがグローブを片手に言った
「あのボール。正確にコントロールされていた。
並大抵のコントロールじゃない・・・。」
クラマロが真剣そうに言うのでライジスが冷やかしの目で大笑いした
「まぁ。いいさ。この回、0点で抑えれば次の回1点でコールドだ。」
ブルンッ
ブルンッ
【あのピッチャーのボールはもう見た。140㌔は出ていた。】
「1つ教えてあげましょう。」
工藤がヘルメットを整える
「工藤一膳。彼は1度ボールを見たらほとんどどんなボールでも
球質を理解できる。つまり、彼は打つ。」
折戸の縁無しメガネがまた輝く。
「そうだった。あの時のホームランもそれだった。
ほれ、劣木。6番はお前だ。もうそろそろ準備しとけ」
天野がバットを持って歩いていった
ライジスが大きく振りかぶる
「はァァ」
ブルンッ
『剛速球・・・ストライクです。』