『0-9。2アウト満塁です。バッターは6番クラマロ。
 ここで、水木中。ピッチャーを代えてきました。
 1年生のようです。果たしてどんなピッチングをするのでしょうか』

「ほう、ピッチャーか・・・。しかも左利き。これはいいな。」

「よう、お前も見に来ていたのか??城月。」

「あぁ。明野。こいつら潰されてるな・・・。」

「まぁ。結構な弱小だったからね」

「だった??」

城月が首をかしげて笑った

「だった。転校してきた。折戸。そして新入部員幅野。
 あの2人もなかなかやりそうだしね」

明野が楽しそうに笑った

「もしかしてお前、あいつらがこの試合勝つとでも??」

「いや。それは多分ない。だがこの先、水木中は強くなるよ」


劣木がセットポジションで構える


【頼む・・・。まずはこの回を終わらせてくれ・・・。】

工藤が目をつぶる。


スッ

足をゆっくりと持ち上げる

【外角低め。】

天野がしっかりと構える


行け!!。
白球よ。

スーッ

パシンッッ

「何だと!?こんなギリギリのコースに!?」

『ス・・・ストライクです。』

クラマロがもう1度構えなおす

【だが、この遅いボール。しかもさっきのはマグレだろう。】

「行け!!」

スーッ

パシンッッ


内角高めに白球が伸びていく。

【コイツ・・・。さっきよりもスピードを上げやがった。ざっと125㌔か・・・。】