「幅野ー」

一文、工藤、劣木が駆け寄る

「大丈夫か!?」

幅野は下を向いたままうなづいた。

「すみません・・・。ピッチャーかわってください」

「あぁ。休んでおけ」

「でも、守備には入れといてください・・・。最後まで・・・」

そう言うと幅野はゆっくりと目を閉じた

「ピッチャーは・・・。工藤が周りを見渡す。」

守備陣がほとんど倒れている。

「君、やってみたら??ピッチャーでしょ??」

一文がそういうので僕は驚く

「えっ!?なんでそれを・・・??」

「見ればわかるよ」

「確かにこの状況ではピッチャー志望でもいいでしょう。
 劣木君。ピッチャー頑張ってください」

また縁無しメガネが光った。

「行きます!!」

スーッ

パシンッ

スーッ

パシンッ

なんだか、こんな状況なのにワクワクする。

「おい劣木、サインはどうする??」

天野がマスクをとって劣木に駆け寄った

「えぇっと・・・。僕、変化球つかえないので・・・」

「そっか・・・。わかった。じゃ構えたところに投げてくれ」

軽く手をふってまた戻っていった