そのまま1時間ほど。
私と女は見つめ合っていました。

体がそう感じでいただけで、
本当はもっと短かったのかもしれませんが。



外で鳥が鳴いた声がしたんです。

それが聞こえたと同時に、女は消えました。



朝食の席で、私は男性に尋ねました。

「女が出るのですか?」

すると、彼は私に向かって頭を下げ、謝罪を述べます。


「申し訳ない。
あの女は、毎晩見に来るのです。
この家の男が、誰かを好きになっていないかを。

心の中を見透かして、
そうして呪い殺す時を待っているんです」


同じ血筋の女に好かれた家の者同士。

上手くいけば、私に女が憑かないか。
彼はそれを狙っていたのです。



……私には、恋人が居ます。

だからとても心配だったのです。

しかし今でも、私にも相手にも何事も無く。


あれだけで移す事など無理だったんです。