「とさん・・」
「松本さん!」
「はぃ!?」
「この問題解いてください!」
先生がニヤっと笑ったのが見えた。
きっとわかっていないと思っているのだろう。
この先生は昨日新しく入ってきたばかりの先生で
みんなの順位や成績は分かってない。
寝ている人は頭が悪い、とでも思ったのだろうか。
でもあたしは違う。寝てたって教科書ひらいてりゃ
授業の内容ぐらいわかるさ。
だって学年1位ですから。
「Xが3になって9に代入するからy=3です。」
びっくりした顔で正解です。と言った。

「さっすが咲結♪一位は違うね★」
「あんなの簡単っしょ★」
いや、うちは分かりませんでした的な発言をしてる奴が一名ここに。

「次移動教室ぢゃん、いこ。」
「うん。視聴覚室だよね。いこいこ~」
ガチャッ
「誰もいないみたいだね。」
カギが開いているのに誰もいなかった。
電気もついていなくて、真っ暗だ。
カチャッ
「キャアアアアアアッ」
とあたしと結愛が叫んだ。
それはなぜかというと、悠也が寝ていたからだ。
「おっす~馬鹿女。」
馬鹿で結構~と言い返す。
超びっくりした。。。。
いるなら電気つけてくれればいいのに。。。と
あいつにテレパシーを送ってみるあたし。
それは届かず、なぜか勝手にショックを受けているあたし。

「授業始めます―」
ってやばっ!!
教科書がない!!
どーしよ・・・
結愛は遠いし。。。
隣の席は悠也。
こいつは寝てるし貸してくれそうにもない。
「松本さん。118ページ読んでください。」
「は・・・い」
どうしよどうしよどうしよ・・・
悠也・・・助けてよ。幼馴染でしょ。。。?
ギュッと目をつぶった。
その瞬間、
バサッ
「え?」
「ほら、教科書忘れたんだろ?貸してやるよ。」
ありがと、と小声で言った。
「電磁誘導とは―――――である。」
「はい。OKです。」
なんとかその場はおさまった。悠也のおかげで。
そして何とか一日はおわった。
あんな奴嫌いなはずなのに。
自己中で俺様でどsなあんな奴。
でも困ったときは助けてくれる優しい奴。
って一瞬思ってしまったあたし。
もしかしてあたしは悠也のこと嫌いじゃないんじゃないかって
不覚にも想ってしまった自分がいた。