叶わないって、わかってたんだ。

だから、“そんなの嫌だ”なんて泣いたり喚いたり出来ない。



「こちら、当店オススメのオリジナルカクテル、Lovesicknessです」



「“Lovesickness”…」



「意味、わかる?」



「恋煩い」



「そう。今日からの新商品!」



私はシャンパングラスを持ち、ピンクのお酒の香りを嗅いだ。



「匂うって!海ちゃんこれ、ワインじゃないよ?」



「…知ってます。さくらと苺とココナッツですね」



「え゛ー!!匂いだけで何でわかったわけッ!!?」



私が嗅覚だけで当てた事に驚いた翔さんが叫ぶと、周りの人が、みんなこちらを見た。