「どしたの海ちゃん」



「これ…貰ってくれませんか?」



包装された香水の入った箱を出し、私は翔さんに渡した。



「え?兄貴へのプレゼントなんだろ?」



「お客さんに、コレを買ったショップの人がいて、被ってるんです…」



「あー、ナズナさんか」



「名前は存じないんですけど」



翔さんは「わかった!」と、受け取ってくれた。

サングラスだけでは軽くて大きい紙袋。

私は中に戻る翔さんの背中を見ながら、ため息を吐いた。

ナズナさんというらしい店員さんの為に、翔さんにあげるなんて。

悠さんに似合う香りの香水をあげるなんて、寂しい。