「さぁ、着いたよ」



イサムの言葉で我にかえった私。



すぐに車から出たイサムを私は目で追うだけ。



しばらく助手席に座ったまま、耳を澄まして波の音を聞いていた。



言わなきゃ……。



言わなきゃ……イサムに言わなきゃ……。



まるで呪文のように、心の中で繰り返す。



このままイサムの気持ちに甘え続けていてはダメ。



自分の気持ちを伝えるって、決めたのに、



いざ、イサムを目の前にすると、その決意が揺らいでしまう。