柳瀬のいじけた声。


「えー!ヤナくんやめちゃうのー?

でも郁かおりんとやりたかったー!」


やっぱり郁は譲ろうとはしていなかった。

って、

なにやってんの、俺。


もうここまで来たらやるしかないわけだし

仕方ないか。


「あ、黒崎。書けたよね?」


得意の愛想笑いで圧力かけるしか

方法はないんだけど

「もー!黒崎可哀想じゃん!
いい!わかった!
郁も降りる!」


「ええっ!?」


そしてようやく見せた藤原さんの反応


は、もちろん悪かった。

「かおりんー!
郁もね、かおりんとやりたかったの!ほんとだよ!」


「でも私、先生が困ってるから
やろうと思っただけだし

そしたら仲本と柳瀬くんがやればいいんじゃ」


「黒崎ー?書けたー?」


「わ、わかったよ、書くよ!」


とうとう黒崎も折れてくれたわけだし、決定ということで。


「広瀬、ということだから
俺と藤原さんね」


「京介お前怖えな~。

藤原は、いいのか?」



「………わかりました…」


聞こえてきたのは、物凄く嫌そうな彼女の声だった。