6月中旬。

梅雨の時期で、その日は特に雨がひどかった。


授業が終わり、教室で帰る準備をしていると

いつものように兄と兄の友達がやってくる。


1人のあたしを心配して、

兄はいつも一緒に帰ってくれていた。


その日も一緒に帰る。


校門を抜け、少し歩けば、街が見えてくる。


兄の友達の蓮くんが、

「コンビニ寄るからここでバイバイ!」

と言って蓮くんは別の道を行った。



その時だった。



キィィィィィ


聞き慣れない高い音が耳に入る。

音のする方を見ようとしたその時、

あたしは誰かに押され、派手に転んだ。


まるでコマ送りのように

今でも覚えているその光景に

あたしはたまに背筋を凍らす。


トラックがあたしに突っ込もうとした時

あたしを押して、

代わりに兄がトラックに跳ねられたのだ。