ドアをノックする。
返事がない。
「…お兄ちゃん?」
ドアを少し開けてのぞいてみた。
ベッドの上の布団がもぞもぞと動く。
「お兄ちゃん、ご飯できたよ。」
返事がない。
「早く食べないと冷め「うるさい」
あたしが喋り終わらないうちに、兄は言う。
今まで優しかった兄の面影がどこにもない。
以前の兄は、妹であるあたしに
「うるさい」
なんて言う人じゃなかった。
兄が変わってしまったのは
いつだっただろうか。
兄が変わった日から今までの
とても短い時間が
あたしにはとてつもなく長く感じた。
いつになれば兄は戻るのだろう。
兄が変わったのは、
ある事がおきたからだった。