「…信じてないですよね?」
「う~ん、どうだろ?まぁ、今んところ…お前の嘘は聞いたことないから信じてやる」
…北条さん、実は私、嘘いっぱいついてるんです
こないだのテストだって、
北条さんには赤点一つも無かったって言ったけど実は5教科中2教科赤点だったし…
まぁ、本当のことなんて絶対に言えないけど
てか、言っちゃだめ!
「そっそうですよ!じゃあ、また後で色々決めましょうね?」
「あぁ。てか、俺帰るわ。明日提出するレポートやんの忘れてた」
「大学も大変ですね。頑張ってください」
「おぉ。送ってけなくて悪いな、寄り道しないで気をつけて帰れよ」
北条さんの後ろ姿を眺めながら密かにガッツポーズ。
やった!
早くちづちゃんに報告してあげなきゃ
右ポケットに入っていた携帯を取り出して、ちづちゃんに電話をかけた。
『…もしもし?』
「ちづちゃん!北条さん映画に誘えたよ!一緒に行ってくれるって」
『本当?よかったじゃん!てかね、私も夏海に言いたいことあったんだよ』
「え?なになに?」
『遠くだったから確信はないんだけど…北条さんの元カノいたでしょ?』
北条さんの元カノ
彼女の名前は新垣茜さん
花火大会の日以来、彼女の名前を聞くことはなかった。
「茜さんがどうしたの?」
『さっき、駅前のビルで男の人と歩いてたの。あれは絶対、新しい男だよ』
茜さん、まだ北条さんのことが好きなんじゃなかったの?
…もしかしたら、北条さんと別れた理由と関係あるのかも
確か北条さん
茜さんとは茜さんの浮気が原因で別れたって言ってたし。