バスは目的地に着いた。だが、だれも降りてこない。バス内にはドアの開閉音だけが響く。
「みなさん、目的地に着きました。起きてください。」ドラマなどに使われるボイスチェンジャーがバスにあるテレビから流れて来る。その野太い声で全員が目を覚ました。
「ここってどこ!?」一人の女生徒が聞く。
「ここは、ゲーム会場です。みなさんに楽しんで頂くための特別施設なのです。」
竜也はゲームと聞いて一気にやる気を失っていく。逆に隣の美郷は目を輝かしていた。「お前はだれなんだ!?」
ある生徒が恐る恐るに聞く。
「私はここの施設の支配人です。いまはバスにはいないですが、目の前にあるゲーム会場に来れば私はいます。」
丁寧に教えてくれた。
「ゲームってどんなのがあるんだよ。」
信吾が心を踊らせてるような口調で聞いた。
「それは会場に入ってからのお楽しみです。」竜也にはお楽しみの意味がわからない。
ただゲーム会場になんか入りたくないとずっと考えていた。その矢先あのテレビから
「それではみなさんこのバスから降りて来てください。」バスから全員降りていく。
ある生徒はどんなゲームがあるのか話しながら、ある生徒はお金が必要か話しながら。わかることは竜也を除いた39人は楽しみにしている。バスからだれかが降りるたべ竜也は地獄は近づいていくような感覚に陥った。いつもならただ嫌になるだけのはずが。ゲーム会場は見た目が暗く廃墟のように見えたが、中はとても明るくこんなことなら外装もちょっとはきれいにしろよ。と言いたくなるくらいとても豪華で明るい。
クラスの大半がすごい。と思ったに違いない。ここまで明るいと目が痛くなる。
知らない内に美郷が竜也の手を握っていた。信吾が見逃さないわけがない。
「ゲーム会場とかこんなとこきても二人はいちゃつくのかよ。」と笑いながら毒を吐くが、二人はいつものように無視をした。
すると、目の前にある大きな扉が開き、支配人の使いのような人達が数人でてきた。
「みなさん、こちらまでどうぞ。」少し年を取っているのか、声に凄みがなくとても優しそうな声だった。クラスの全員が疑うことなくその使いについていった。
扉の中は映画館ばりの大きなスクリーンがあり、またそこに映像が映しだされ、案の定支配人がいた。