一人の世界。
ただ一人のためだけに作られた世界に行くなら、どんなことをしてでも手に入れたい。
目の前に誰がいても・・・

~プロローグ~
「あぁー、また負けた。」
悔しそうな声が聞こえるがなんとも賑やかな場所。
逆に賑やかじゃない方が変だ。このバスには修学旅行生が乗ってる。
「竜也はほんとこういうの苦手だよね。」
馬鹿にしたように笑いながら言うのは幼なじみの「美郷」だ。竜也とは幼稚園のときからの友達であり、竜也の彼女でもある。
「竜也ほど弱いやつはいないな。」
うんうんとうなづきながら言うのは、サッカー部のエース「信吾」。今時どこにでもいるカッコイイ男だ。
「うるせんだよ!!もう」毒を吐きながらもただゲームで10連敗もしたストレスを発散してるだけ...
「天下の竜也様のお怒りだぞ。」
こうやっていつも様とか天下とかつけるのはギャルの「有華」だと決まっている。
いつも美郷と居るので竜也も自然に仲良くなっていた。
美郷と有華が歩けば大半の男子が振り向くだろう。美郷は今時珍しい黒髪色白の清楚な感じでかわいいらしい印象だ。逆に有華は金髪で見るからにギャルだがとても綺麗で学校のトップは美郷か有華かで分かれるくらいだ。そんな二人のとこに人が集まらないわけがない。その一人が信吾だ。信吾は確実に有華派だったので敵対する必要もなく仲良くなれた。今となっては誰もそんなことを気にしていないが。
「おい、はしゃぐのはいいが限度を考えろよ」担任のうるさい声が聞こえた。
クラスの40人が同時に返事をしたが、一切わかってない返事だった。
「あぁー、俺寝るわ。」
「おっ負け犬が逃げやがった」笑いながら信吾が言うが、竜也は聞こえてないふり。
そんなことをしてる内に竜也は目を覚ますと、バスはとても静かだった。
トンネルを通っているのだけがわかる。
そしてまた竜也の視界は暗くなっていった