帯びた炎どころか、最大の武器である四尾すら防がれた。

「ぐぬぬぬ…」

口をへの字にして、姫羅木さんは悔しそうな顔をする。

「由緒正しい天狐たるわらわの尾が、このような童(わっぱ)に…」

自分が手も足も出せない事が相当に悔しいのか、今にもまた地団太を踏みそうな姫羅木さん。

「止むを得ん」

彼女はユラリと四尾を再びもたげた。

「かくなる上はわらわの最大級の神通力を使うしかあるまいて」