あたしは悩みながら必死でリノアを演じる。



こんなときリノアならどうするんだろう。


あたしだったら。



頭の中であたしとリノアが言い合う。


どっちが本当?



難しい。


大変。



そんな中、あたしは〝楽しい〟という感情を覚えた。



上手くできると嬉しくなる。


あたしは単純な脳細胞からできているから、こんな些細なことで〝楽しい〟と思ってしまう。



実際は辛いことばかり。


発声練習だって、あたしは人の倍やった。


ランニングだってそう。



今までの先輩たちが積み上げてきた分に追いつこうと必死だ。


それだけやって、できると物凄い嬉しくなる。


頑張る分だけ嬉しさは倍になって返ってくる、というのはどうやら本当みたい。