「先輩っ!」
あたしは左を向く。
先輩の顔をしっかりと見つめた。
分かった、伝えたい言葉。
やっと分かった。
美空先輩は急に大きな声になったあたしを、不思議そうな顔で見つめた。
大きく深呼吸。
澄み切った空気を体内に蓄えて。
「あたしがちゃんと文化祭で発表することができたらあたしの事を香澄って呼んでくださいっ!!」
あたしは一度も息をすることなく言い切った。
もちろんのこと。
…はぁ?
まさに先輩はそんな顔をするわけで。
あたしはズズズっと、先輩に詰め寄る。
そして無理やり、あたしの小指と先輩の小指を絡ませた。
「指きりげんまんです!約束ですよ!」
言いたい事を言い終わったら、なんだか急に眠気が舞い戻ってきた。