「何笑ってるのよ」



「…え?!」



ギクっと表情を強張らせる。



ばっ…バレた?!


え?!なんでなんで?!



怒らせたかなぁ…?と不安になりながら、先輩の顔を覗き込んだ。



なんだ…



先輩だって…―――笑ってるじゃない?




あたしは嬉しくて嬉しくて、でもバレないように口元を押さえて笑った。



遠くを見てる先輩。


どこを見ているんですか?



聞けなかったから、あたしも先輩が見ている方向を見てみた。



目の前に広がるのは海。


真っ黒で、何もかもを飲み込んでしまいそうな海。



ゾクっとした。


全身の鳥肌がたった。



夜の海を見たのは初めて。



こんなにも…真っ黒なのか…