「ひゃっほーう♪」



勢いよく部屋に飛び込んで、畳をゴロゴロゴロゴロ転げまわる夏沙先輩。


…かなり猫に見えるのはあたしだけだろうか。



「うっわー、かなり蒸してる!暑い!」



「荒木窓開けてー」



「了解でーす」



あたしは端っこに大きい荷物を置き、日光を遮っているカーテンを開けようと手を伸ばす。



シャっとカーテンの音。


次の瞬間、あたしの目の前に広がったものは――



「?!」



海だった。



勢いよく窓を開け、身を乗り出す。


心地よい潮風が頬を撫でていく。



「先輩海です!!きれーい!!」



合宿前に、寺原先輩に「水着を持ってくること!絶対忘れないでね」と、そう言われた意味がようやくここで分かった。



目の前は海だったんだ!


今年の夏はプールも海も行けないだろうな、と諦めていたあたしは、子供が久しぶりに遊園地に来た並みに喜んでいた。