「みなさんどうぞ~」



再び家の中に入っていくお婆ちゃん。


弥生先輩はお婆ちゃんの後を追おうとして、「あっ」と足を止めた。



「みんな、部屋はこの前と一緒だから先に行っててもらえる?あと藤田くん、一緒に来てもらってもいい?これからのことでお話があるの」



部屋分かるよね?と、夏沙先輩に尋ねる。


夏沙先輩はとびっきりの笑顔で親指を突き出した。



これから何が始まるんだろうと胸の高鳴りが止まない。


修学旅行みたいで、すっごいワクワクしているあたしはガキ?



演劇部に入ったことで、たくさん〝初めて〟をしている。


あたしの中の〝初めて〟が、どんどんなくなっていくのと同時に、すごい満足感に浸っていた。



毎日毎日、やりがいのある練習ばかり。


一日一日、進歩しているみたいで嬉しかった。



このまま行けば、不安をなくして文化祭発表に臨めるかもしれない。



頑張らなきゃと思った。


頑張ろうと思った。



足を引っ張らないように努力して、いいものを作るんだ。