なかなか気づかない先輩に気づいてもらおうと、あたしはかなり真顔で睨んでいた。



早くこの手を離せ、と。


そして早く帰らせろ、と。



今だ掴まれている手。



力入りすぎ。


痛い。



なのに、何も気づかない。


え?なんで睨んでるの?みたいな表情でハテナを頭上に浮かべたままあたしを見つめている。



かなり鈍感。


まじヤヤコシイ人と出会っちゃった。



思っていてもしょうがないことだけれど、立ち寄るんじゃなかったと思った。


すぐさま泣き止んで帰宅すれば良かった。




絶賛後悔中。


フラれたことで凹んでいるのにさらに凹んだ。



どうして今日はこんなにも最悪デーなんだろう…




「一年生?」


「そうですけど…」



待ってましたとばかりにパチンと指を鳴らしたソイツ。



「…?」



あたしは険しい顔で先輩を見つめる。