別にいいけどさ。


新しい恋、見つけるもん。


あんなクソ男、とっとと忘れてしまうんだ。



開き直ってやることにした。






「俺は君の声に感動した!」





…はぃ?





目をキラキラさせながら言う、目の前の男。



何言ってんだこの男は。


あたしの声に感動?


叫んでただけだっつーの。



しかも、ふざけんなーだし。



目をキラキラさせる目の前の男は一体何を考えてこんな表情になっているんだろうか。


あたしはうんざりと、肩を落とす。



どうも、あたしは変な人に捕まってしまったらしい。



ソイツはいきなりあたしに近寄って来ては手をとると握ってきた。



振り払おうと思った。


カッコいい人に触れられるならまだしも、こんな微妙な人に触られるなんて…嫌。



しかし振り払えなかった。