「ない…かな」




琴子にはキラキラと輝いた夢がある。


あたしにはない。



あたしは黒。


琴子は白。



あたし達は、似ているようで似ていない。


混ざり合えない真逆の色。



だからこそ、琴子にこんな話はしたくないんだ。


自分が惨めになるだけだから。



羨ましい。
悔しい。
辛い。



あたしにない物をたくさん持っている人は嫌い。




「だったらさ、演劇部に入ってみたらどうなの?」



本気で、そう付け足す。