でしょでしょ?なんて嬉しそうに笑う先輩。
これがあの王子様だったのかと思うと、何だか違う気がしてくる。
さっきまで演技をしていたオーラとは全く違う。
王子様…そんなオーラ…微塵も感じないんだけれど…。
さすがと言えばさすが。
演技と普段と、こんなにも使い分けることができるものなのか。
そしてもちろん、感想の次に次に来る言葉は、
「入ってくれる?」
これ。
この言葉だった。
今もっとも聞きたくなかった言葉。
あたしは申し訳なくて俯いてしまった。
こんなにも笑顔の人を悲しい顔に変えてしまうのは正直辛い。
でもあたしはあんな風にはできない。