父さんの部屋があるのは、ちょうど俺の部屋の向かい側。


時間的にも、父さんの飯が食い終わりそうな時間。


父さんでも2階にあがってきてこの俺達を見られたら...


怒鳴り散らされる以上のことをされるに違いない。


「......チューしてよ」


そう、低めた声が、華恋のほうから俺を縛り付けるみたいだった。


退けかけてる俺の上半身。


「お兄がしてくんないならどいてあげない......っ」


足の上から、君にどいてほしくないのが俺の本音だ。


親に見つかったらの未来(さき)を考えたら、たまらなく怖いという、臆病な俺がいるだけ。


どこかで『親に見つかる』という恐怖に襲われて、先の見えない将来に怯えてる。


自分たちにも予想できない、華恋との関係が他人にバレてしまってからのこと。