「はいはーい!!」

「美香、「はい」は一回で言いから。」

ため息混じりの律の声に少し安心感を覚えた。

「あ、菜子も突っ立ってないで上がって。」

祐二の呼びかけにも喋らない菜子。

(本当に頑固。)

顔に出さないように、なるべく笑ってみる。

(俺ちゃんと笑えてる?)

「菜子、何してんだ?早く来いよ。」

「あ……い、今行く!!」

気になったのか律が階段から下りて来て名前を呼ぶ。

タタタッ

急いで階段を上り律の元へかけてく菜子。

律が話しかけると人が変わったようになるのを見たら……

(腹立つ。)

菜子に?律に?

律に想いを寄せてる菜子に?

菜子の気持ちに一つも気づかない律に?

(そんな事考えてる暇じゃないって。菜子に謝らないと……)