また一つ恋が終わってしまった。
いや、そもそも恋なんかではなかったかもしれない。

恋人の孝之から連絡がきたのは昨日の夜で、愛情が感じられないとかセックスがつまらないとか、つまり私の努力が足りなかったんだろう。
なぜか私には愛情があっても伝わらないし、セックスにも意味を感じられないのだ。

ただ全てが最高潮ではなく、ほどほどに好きだし、ほどほどに嫌いなだけ。

何かにのめり込んだ記憶もない。

勉強も趣味も仕事も恋愛も、ほどほどで満足してしまう。


『店長。美那さんがいらっしゃいました。今お待ちいただいています。』

『ありがとう。すぐ行きます。』

幼なじみの川崎 美那がきたらしい。
どうしたのか、きっと時間を持て余してるのだろう。

といいながらも、自身の気持ちが穏やかになるのがわかった。