料理もお酒もたらふく食べ終えたあたし達は、それぞれの家へむかった。

外へでると酔った体に肌寒い風が気持ち良い。

もう、すっかり秋になった。

駅までの道を真里と2人並んで帰る。

隣を見ると真里がにこっと笑っている。

駅の目の前の信号にさしかかると真里が言った。

『川崎さんすみませんが、この先のカフェの前で彼と待ち合わせしてるんで、ここで失礼します。』
『うん。今日はどうもありがとう。お料理も美味しかったし、雰囲気もすごく良かった。またすぐ行きたくなっちゃう。じゃぁ、お疲れ様でした。』


『良かったぁー。川崎さんにも早く素敵な彼氏見つかるといいですね。そしたらデートに使えるでしょう?じゃぁお疲れ様でした。』


小走りで向かいのカフェまで駆けていった真里を見たその先には、私の知ってる人。

昨日私と抱き合った正人だ。

『あははっ。おっかしぃー。な~んだ・・・・。』

人目を気にせず声を出して笑った。

何であの子はあたしの欲しいものをすべて持っているんだろう。

何であたしには何ひとつ手にいれられないんだろう。

ずるいずるいずるいずるいずるいずるい
こんな事ばかりがずっと頭をよぎっていた。