『どうしたの、珍しい。何かあった?』
『何って事はないよ。ただ、これから彼と夜食事に行く予定だったから。時間空いちゃって。』
『ちょっとぉ、暇つぶしなの?まっ、いいけど今夜はどちらの彼なわけ?本当にミーナはふしだらだよね。』
『秘密の彼だよー。』
こんな事を言われても栄恵には腹がたたないから不思議だった。
あたしの親友の滝川栄恵は、本気であたしを誉めるし、本気であたしを責め立てたり意地悪をいうが、いつも根はまっすぐでそこが大好きだった。
ある程度の女達が持つ、ずる賢さや計算高い所がまったくないのだ。
あたしを全て受け入れてくれる唯一の存在。
昔から栄恵は変わらない。