もう既に半泣きの彼女は
声を震わせながら言った。


「そこの道路でうずくまってたんです。
どこの家に行っても取り合ってくれなくって」




たくさんの家を回ったのだろう、
彼女は傘を差していたはずなのにも関わらず
びしょびしょに濡れている。




「お願いします。助けて下さい。」



彼女は
最後のお願いというように猫を抱えたまま深々と頭を下げた。