「ねぇ…志乃」
「ん?なんだよ?」
目を丸くしながら
プリントを書き写す志乃。
「今日一緒に帰ろ?」
私は真っ直ぐ志乃を見て
尋ねた。
こんな質問の答えなんて
待たなくても
わかってるのに……
「あぁ悪ぃーな。
今日も練習あるから」
そう言って
またプリントを書き写す。
……分かってた。
断られることなんて。
だって志乃は
正真正銘のバスケ馬鹿だから。
「じゃあ待ってるから!
一緒に…帰ってよ」
でも、
やっぱり一緒に帰りたい…!
だから
そう頼んだ。
「……っ、わかったよ!
遅くなるだろうけど待ってて」