混乱していると頭の上から低い声がした。
「おい。何堂々と覗いてんだよ、お前」
私に喋りかけてきたのは男。身長が180くらいあるのだろうか…私の何倍も高い。
鼻筋が通っていて、濡れた唇…吸い込むような瞳…茶色いサラサラの髪はワックスでセットされている。顔は…最上級クラスだ。
別に堂々となんか見てないのに…。てか、こんなとこであんなことやこんなことヤッてるこの人が悪くない!?
私は男に反論した。
「別に、堂々と見てないです!ただ…あなた達が…」
その先からは恥ずかしくて口が動かない。
「龍二ぃ~、続きしよぉよ♪」
男にキスされていた女の子が上目使いでねだっている。
続きって…まだやるつもりなの…?
「萎えた」
男が女の子に冷たく言った。
「え?」
「だから萎えたっつってんだよ。もうお前いーや。飽きた」
その言葉はあまりにも冷たく、酷いものだった。
女の子は涙を目に浮かべながらどこかに行ってしまった。